麻川くんより、バカでした。

悩んだ末、『低体温治療』やることになった。
ICUに運ばれて、お母さんの低体温治療が始まった。
2,3日かけて、ゆっくりと体温をさげていくらしい。

怖かった。
すごく、すごく怖かった。
お母さんがこのまま死んでしまうのではないか。
もう、あの笑顔を見ることはできないのか…

そんなとき、ケータイがチカチカ光っていることが分かった。
麻川くんだ。

【無題:今日、先帰ったよな??俺、泣いてるとこ見たんだけど…、どうした??なにかあった??なんでも話していいよ。】

今はこの言葉が心の支え、麻川くんが心の支えになっていた。

事情を説明すると、麻川くんから電話がきた。

『もしもし??リンちゃん??』
「うん…」
『お母さんの具合、今どう??』
「変わりはないよ…ずっと寝たきり。今、34℃」
『リンちゃんのお母さんだもん、大丈夫だよ。』
「ありがと…でもやっぱり怖いよ…」
『リンちゃんが、そんなこと言ってどうすんだよ。』
「…え?」
『お前は今、そんな不安になっていることより、お母さんの無事を願うことをするべきだろ?!』
「そうだけど…」
『ならお前は!!』
「麻川くんにこの気持ちが分かるっていうの?!」
『分かるよ!!俺の親も2年前に死んだ!!俺も今のリンちゃんと同じで、すごくすごく不安だった。どうしようしか思ってなかった。だから俺の母さんは死んでしまった!!俺と同じことを、リンちゃんにはしてほしくないんだよ!!』
「麻川くん…」
『もう一回じっくり考えてみろ。』


そう言って電話は切れてしまった。

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