麻川くんより、バカでした。
病院の待合室にいると、麻川くんが来た。
お母さんのいるところまで案内した。
「お前、もう大丈夫なのか?って大丈夫なわけないよな。俺がついてるから、な。少しは元気出せよ。」
麻川くんの言葉なんかうれしくない…はずなのに、なんでこんなに嬉しいの…
「お父さん、お友達がきてくれたんだけど…中入ってもらっても大丈夫?」
「あぁ、いいよ。」
「失礼します。」
礼儀正しく入ってきて、お母さんのそばに駆け寄る。
「お父さんは少し出てるな。」
お父さんは病室を出て行った。
「俺の母さんと同じだ…」
「え?」
「俺の母さんも急に倒れてICUに入ったんだ。それで、低体温治療をうけた。」
そんな…麻川くんも同じだったなんて…
「お母さん、成功したの?」
横にクビを振る。
「そう…」
「リンちゃんのお母さんなら、大丈夫だよ。きっと成功する。」
「願うよ。お母さん助かって…」
手を握る。
お母さんの手は冷たくなっていた。