麻川くんより、バカでした。
第2章

あの木の下で


麻川Ver

俺が小2の頃、祭りで会った一人の女の子。
それがリンちゃんだったなんて…

迷子になってるその子は俺の服の裾を掴んできた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、リンナね、迷子になっちゃったの。」
泣きながらしがみついて来たその子は俺より年下に見えた。
「リンナちゃん?何歳?」
「8歳!!」
「俺と同じじゃん!!一緒にお母さんたち見つけてあげるよ。まずあそこに行こうか。」
そう言って俺が指差したのは
大きな木だった。
「わかった。リンナもそこ行く。」
手を繋いで、その子と一緒にお母さんを探した。
「リンナちゃん、ここにいてね。」
「お兄ちゃんどっか行くの?リンナ1人?」
「ちょっと待ってて!!すぐに帰ってくるから!!」
なぜ俺を“お兄ちゃん“と呼ぶのだろう。
あの子はきっとバカなのだな。きっと。
そう思いながらわたあめを二つ買った。
「リンナちゃん、ごめんね1人にして。」
といって、わたあめを渡した。
「うわぁっ!!わたあめだぁっ!!ありがとう!!」
俺はその笑顔を見たとき、ドキドキした。
俺より背が低くて、浴衣を着て、髪を二つに結んでいる。
それからしばらく木の下で座っていた。
「ねぇ、また会えるといいね。10年後、リンナ大きくなってまたこのお祭りに来てこの木の下でお兄ちゃんのこと待ってるよ!!」
「俺も、10年後来るよ。」
「もう10年間会えないのかぁ…それも寂しいね!!」
「だな!!」
2人で笑いあう
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