麻川くんより、バカでした。
春斗さんは1度深呼吸した。
そして、また話した。
「俺なあ…中学んときイジメられてたんよ。でもそれは中3の3学期だったし、まあ耐えれたんだよ。それで高校も一応偏差値50ぐらいのところに入れて…俺は彼女ができた。それからだったんだよね。彼女のプレゼントとか買うために、バイト始めて…そしたら勉強なんかする時間なくてさ、親の態度変わってきてさ。勉強しろとか、彼女と別れろとか…高校入れば楽になれると思ったんだけどね。中学生んときは結構真面目だったんだよ?でもね高校入ってから反抗期に入ったんだあ。下には中学の弟がいてそれがタツヤな。タツヤは勉強もできて、スポーツもできて、顔もそこそこよくて、性格よくて、完璧だった。それが憎らしかった。」
春斗さんは震えながら拳を握り始めた。
「俺はなんであんな努力してたのに全然勉強できなかったんだ。タツヤはなんで勉強あんましてないのに頭いいんだ。ふざけてるだろ。そこから俺は少しおかしくなったんだ。タツヤを見るたびに怒りがこみあげてくる。部屋は穴だらけになったよ。それで親も怒って俺を殴り始めたよ。勉強しろ勉強しろ。タツヤにはもっと優しく言うくせになんで俺だけねぇなんで俺だけなんふざけんなクソババアしゃべんなこっち見んな触んな。」
もう春斗さんが春斗さんじゃないような気がした。
春斗さんはがくがく震えながら、冷静を失っていた。
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