秘密のMelo♪y⑤*NY編*
まとなんとかは終わったみたいだ。
「出てきたで中身」
そう言って、箱ごとあたしの目の前に持ってくる。
大きさはもう、片手に十分収まるほどになっていた。
「手紙…?」
「…やな」
なんで手紙をこうも厳重に…。
「大ファンやゆうとったで」
ファン…ねえ…。
あたしの? ……変わった人もいるもんだ。
「ちょっと。それはあたしを変わってるって言いたいわけかしら?」
「そんなことは」
まあいい。読んでみよう。
ありがたいことに変わりはないからね。
カサ…と紙切れを手に取り、二つ折りにされたそれを開いた。
中には、フランス語でただ一言こう書かれていた。
「La personne n'est pas debout seul」
手書きではない。
メッセージカードを買ったみたいだった。
だけど…。
「……人は、一人では立っていない」
…か。
…そう…だね…。
あたしは今、うずくまってしまっているけれど。
立ち上がるときは、きっと誰かがそばにいるとき。
そばにいて、手を差しのべてくれてるとき――。