秘密のMelo♪y⑤*NY編*
混乱して何も言えないあたし。
やがてママは、抱きしめていた腕を緩め、あたしの顔をじっと見つめた。
「楓ったら…こんな可愛い奥さん、置いてっちゃうんだものね。一番大事な人を、守りきれなかったんだもの」
「ママ…!」
「あなたをこんなに悲しませて…本当に、どうしようもない子…」
「マ……。そん…な…」
そんなこと…言わないで!
だってあたしより……あたしよりママのほうが、ずっとずっとつらいはずだよ…。
「無責任な息子でごめんね、まおちゃん」
「ママぁ…そんなこと…言わないで…」
悲しそうに笑うママの顔。
やっぱり似てる親子だから。
かっくんの面影があって、より一層苦しかった。
「じゃあ…体、大事にしてね。また来るわ」
胸に押し寄せる苦しさで声も出ずにいたあたしにそう言って、ママは立ち上がった。
「あ…」
なぜかおろおろと慌てるしゅっちゃん。
さっと道を開けて、眉を下げてママを見送っていた。
―カラカラカラ…
「……」
「……」
「……」
「……」
ママが出て行って、しばらく沈黙があたし達を襲った。
気まずいところに……居合わさせちゃったな…三人。