秘密のMelo♪y⑤*NY編*
そうは思ったけど、気を遣う余裕がなくて。
口を開けば、同時に涙もこぼれてきそうで。
ぐっと唇を噛みしめて、布団の中にうずくまった。
「まお…」
心配そうに呟くりんりんの声が聞こえたけど。
…ごめんね。
「……じゃあ、僕らはそろそろ帰るよまおちゃん」
「……うん」
「行こう、花梨…」
「ええ…。またね、まお」
蓮くんが咄嗟にそう言って機転を利かせてくれ、三人はすぐに去っていった。
「……」
…どうしてあたし、こうなんだろう…。
なんで……みんなに気を遣わせてばかりで。
傷つけてばかりで。
あたし、どうして生きてるの―…?
…ふと、よくりんりんが果物を切ってくれる時に使うナイフが目に入った。
「……」
あたし……だったら。
…かっくんじゃなくて、あたしだったら……どんなによかったことだろう。
一度そう思ってしまうと、動き出した体は止まらなかった。
ゆっくりとベッドの外に足を降ろし、ナイフに向かって手を伸ばす。
…そう…だよ。
あの人のそばにいれば、つらくない。
もうこんな思いしなくていいんだ。
もう……みんなの悲しい顔、見なくていいんだ―…。