秘密のMelo♪y⑤*NY編*
『今日はお父様は?』
『いないけどどうして?』
『そうですか…。お話があったのですが』
「いるわボケΣなに言っとんじゃお前っ」
ちっ…出てきたかっ。
『ああなんだ。いるじゃないですか。…それじゃちょっと座ってくれますか?』
ひょっこりと顔を出した父様を見て、安心したような表情を見せる先生。
どうぞ、と二つの椅子を差し出した。
『では包帯を取ってみましょうね』
座るなりそう言って、左手を出すよう促す先生に従い、もたもたしながらも左腕を差し出した。
何週間ぶりかにくるくると解かれていく包帯をじっと見つめた。
『じゃあ、肘を曲げてみてください』
ひ、ひじ?
ひじって…どっちだっけ。
「言っとくが、足のが膝だぞ」
「……そんなの分かってるやい」
話の流れで分かるやい。
…ふんだ。
ぷいっと父様から顔をそらし、ゆっくりと肘を曲げた。
右手のように素直にはいかないけど、半分くらい曲げることができ、ちらりと先生に目をやる。
『ふ…む。では手首は動きますか? …あ、無理はしないでくださいね。ずっと固定していて、筋肉も強張っているでしょうし…』
てくび。
動かす…って……。
…どう…やって…?