秘密のMelo♪y⑤*NY編*
あ…れ…。
動かない?
そんなわけ…。だって肩も回るし肘も曲がるし、手首だってくいくいって…。
「あいてっ」
『ああ、ほら。無理をしないで』
「……」
くいっと右手首を上下左右に動かしながら、それを見つめて首を傾げ。
もう一度左手で試みる。
「……」
僅かに傾くだけ。
痛みすら…まともに伴わない。
どういうこと…?
『……ではこれを握ってみてください』
そんなあたしをじっと見て、机に置いていたヘンな形の棒を手渡す先生。
『はあ…』
戸惑いながらもそれを左手で受け取り…。
―カラン…
「…!」
『……』
「……」
あれ…?
持てない…。
『…痛みは、ありますか?』
『いえ……全然』
……そう。全然だ。