秘密のMelo♪y⑤*NY編*
――真裕サイド――
「ふっ。追い出してやったわ」
ちょっとかっこつけながらぼそりと呟くと、呆れ声のシュンが「おめーホントに親父さんに容赦ねェのな」と返してきた。
しかし心外だっ。
だってシュンだってシュンだって容赦ないもん!
「まおのはあれだわよ。愛の鞭」
「嘘つけ」
「はっ。ばれた」
むむぅ。
シュン、手強し!
シュンに対抗する策を練り練りしていたら、いつの間にかあたしの頭の中は数日前にトリップしていた。
『―…ではやはり…』
『…はい。以前申しました通り、娘さんの左手は……』
「…い……おい真裕?」
「うえ? …ううん下よ。下にいるわ梨音は」
「……なんだいつも通りじゃねェか。様子が変だとかいうから心配してみりゃ」
『あら…そうみたいね』
「…どおいう意味だい」
なんだかすごく失礼なことを言われたような気になったけれど、ここ数日ずっと頭の中をリピートし続ける一言…。
それのせいで、ぶっちゃけ他のことはまともに頭に入ってこなかった。
そう。
あの日突き付けられた現実。
絶望にあるあたしを、さらに突き落す一言。
『左手は……再起不能、と…考えておいてください』