秘密のMelo♪y⑤*NY編*

―――……


「まおー。きょおは病院の日だが…ってそのかっこで行く気じゃないだろうね」


「めーんーどーくーさーいー」


「でーもーいーくーのー」


二日後の朝…。

だらだらとベッドに横たわるあたしに、一緒になって横になりながら言う父様。

すごく面倒なうえにすごく嫌なんだけど、仕方がない。


「ハアア…」


盛大なため息をこぼしながら、むくりと上半身を起こした。


「野木に車を出させているから、着替えたら来なさいね」


「はーい」


ぽいぽーいっとパジャマを脱ぎ捨てながら返事をし、温かいセーターを着込んだ。


今は二月…。

冬は終わりに近づき、春の足音もだんだん近づいてくる頃だ。

だけどあたしの心はまるで秋の木枯らしの吹いた後のよう。

冬の枯れ果てた木枝のよう。

あたしの心の泉となるのは…ただ一人。

あの人だけ。

もし潤いを取り戻すことができるのなら。

あたしはなにも……いらないのに。


「わんっ」


「ん?」


「くう…」


「あら…おなかすいたの」


いつもご飯を入れているお皿を咥えて首を傾げる琥珀に話しかけ、ジャラジャラとドッグフードを流し込んだ。


「じゃ、食べててね。行ってくるから」


そう言って手を振ったけど、二人ともあたしには見向きもしてくれなかった。

…つめたいっ。


< 171 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop