秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
「まおー。きょおは病院の日だが…ってそのかっこで行く気じゃないだろうね」
「めーんーどーくーさーいー」
「でーもーいーくーのー」
二日後の朝…。
だらだらとベッドに横たわるあたしに、一緒になって横になりながら言う父様。
すごく面倒なうえにすごく嫌なんだけど、仕方がない。
「ハアア…」
盛大なため息をこぼしながら、むくりと上半身を起こした。
「野木に車を出させているから、着替えたら来なさいね」
「はーい」
ぽいぽーいっとパジャマを脱ぎ捨てながら返事をし、温かいセーターを着込んだ。
今は二月…。
冬は終わりに近づき、春の足音もだんだん近づいてくる頃だ。
だけどあたしの心はまるで秋の木枯らしの吹いた後のよう。
冬の枯れ果てた木枝のよう。
あたしの心の泉となるのは…ただ一人。
あの人だけ。
もし潤いを取り戻すことができるのなら。
あたしはなにも……いらないのに。
「わんっ」
「ん?」
「くう…」
「あら…おなかすいたの」
いつもご飯を入れているお皿を咥えて首を傾げる琥珀に話しかけ、ジャラジャラとドッグフードを流し込んだ。
「じゃ、食べててね。行ってくるから」
そう言って手を振ったけど、二人ともあたしには見向きもしてくれなかった。
…つめたいっ。