秘密のMelo♪y⑤*NY編*
「おはようございます、お嬢様」
「おはよー」
ふっ…清々しいほど爽やかだわね、野木さん。
彼はまだ二十五と若く、俗にいうイケメンという部類に入るだろう人だ。
爽やかに笑うと、まるで絞りたてのレモンのように爽やかなのだ。
「例えが何気に分かりづらいぞまお」
「父様も行くの?」
「おお。今日は先生に一緒に来てくれと言われてるんでな」
「……言われてないときも来てない?」
「……そんなことないやい」
毎回ついてきてる人が良く言うよと思ったけど黙っておいた。
きっと父様は、あたしが病院嫌い故に途中で逃げ出さないかと心配してるんだ。
野木さんなら、あたしが一言「方向変えて」と言えば「かしこまりましたお嬢様」ってへらっと従っちゃうんだから。
アテになんないんだよねなんだかんだで。
…ってまあ、あたしが言うのもなんだけど。
「では参りましょう。よろしいですか?」
「はーい」
「いや私が乗ってないでしょ!? はーいってなんだコラ。そしてよろしいわけないだろ野木っっ」
「はっ…!! も、申し訳ございません旦那さ…あ、いえ。大旦那様」
「…なぬ?」
おおだんなさま?
それは……おじい様のことでは?
「あ…その……。ご結婚……い、いえなんでも…」
「……」
…ああ、そうか。