秘密のMelo♪y⑤*NY編*
…ただ、こう言ってはなんだけど。
“本当に死んで”しまわなかったことが、意外だった。
彼女の楓への想いは相当なものであり、本当に後を追ってしまうかもしれないと、正直思っていた。
だけどまおちゃんは、思ったよりも強かった。
それはつらいだろうし、苦しいだろうと思う。
僕達には想像もつかないだろう。
でも、なぜだろうか。
彼女の死んだような瞳に、時折…本当に時折、わずかに生きようとする強い意志が見え隠れしたように思う。
あれは、なにからくるものだろう?
あのなにかが、彼女を思いとどまらせているんだろうか。
それほどのなにが……あるんだろうな…。
「ちょっと聞いてんの?」
「…………え?」
「…なによそのまお並みのボケ方は」
「失礼だね」
「それ自体まおに失礼だとは思わないわけ?」
「君こそ」
「……」
…悪いが、口喧嘩には自信あるんだ。
「ところでまさかと思うが、そんなしょうもない宣言をするためだけにうちまで来たわけじゃないだろうね?」
「あらやだ失礼ね。しょうもないですって? てかそんなわけないでしょ、逃げてきたのよ」
「逃げてきた?」
むっと唇を突き出しながら、腕を組む花梨。
そういえばこいつ、意外と綺麗だよな。
今まで気付かなかったかもしれないけど。
…そういえば男にモテてたっけな。