秘密のMelo♪y⑤*NY編*
ひどく慌てている。
しかも珍しく真剣だ。
いつもあほな顔であほなことしか言わないから、どうせまたあほなことだろうとしか思っていなかったけれど。
言い切る前にあほって言って追い払ってやろうって思ってたけど。
もういっそ聞き流してしまおうって…。
…だけど。
「あほ連呼してる場合じゃないんだって! 楓くんが…!」
「……え…?」
…だけど、父様の口から飛び出した、その愛しい名前に。
「かっくん…?」
全身で反応して、父様を凝視した。
「楓くんの手がかり見つけたかも…!」
……え……。
手が、かり…?
それ…って…?
「父……様……?」
「本当はまだ言うまいと思った。可能性としては限りなくゼロに近い…むしろ、ゼロと言ってもいいほどだ。だが…」
…それって…。
生きてるかも、しれないって…こと…?
あの人が――…?