秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
「……」
「くうんくうん…」
「わふっ」
「……梨音…琥珀…」
さっきからずっと、ベッドに横になって動かないあたしを心配するかのように、琥珀達が一生懸命に顔を舐める。
放心状態でされるがままになって、もう二時間は経ってるみたいだった。
少し意識が戻ってくれば思いだすのはあの一言。
『楓くんの手がかり見つけたかも…!』
あのあとのことはあまり覚えていない。
かっくんが生きてるかもしれないって思った瞬間、なにかが頭の中で弾けたかのように真っ白になった。
音なんて何も聞こえなくて。
何も目に入らなくて。
自分が自分じゃないみたいで、だけどこの世界に自分一人なような錯覚に陥った。
気が付いたらこうしてて、琥珀達が顔を舐めていた。
「ダメ…だよね。…ね。期待したら…」
忘れちゃダメだ。
父様はこうも言ってたのよ。
『可能性は限りなくゼロに近い』
…って。
期待は……しちゃ、ダメなんだよ…。
分かってる。
分かってるのに……どうしても。
抑えきれないよ…。
どうしよう…。
信じて、いいの? かっくん…。