秘密のMelo♪y⑤*NY編*

――シュンサイド――


「イライラする! 出てって!」


「!」


すごすご戻ってきたメイリー達の代わりに真裕父が忍び込んでから数分。

室内からそんな声が聞こえた。


『マヒロの本気で怒った声……初めて聞いたかも…』


びっくりした表情で呟くアッシュに、思わず同意。


『まあ…気持ちは分かるわ。分かんないけど』


『どっちだよΣ』


リジュの言いたいことはなんとなくわかる。

マヒロだってそりゃ、イライラもするだろうよ。

あれだけ色々あって…吐き出すすべを知らなくて…当たる先すらなくて…。

挙句あんなことを言われた後、さっきの話を聞いたんだ。

察しはつくものの、自分じゃ理解できないだろうなという、諦めにも似た思いも…。


『あ』


「って…」


声を上げたハディにつられて顔を上げると、同じくすごすごと引き下がってきたらしい真裕父。

しかもその落ち込みようがハンパない。


「まおたんに怒られた…」


「……」


ヘコみすぎだろ…。なんだあの死んだ魚みてェな目はよ。


「まおたんに怒られた…」


『パ、パパっ。嫌われたわけじゃないんだし? マヒロだってちょっとイラついてるだけよ~。機嫌治ったらきっと…』


「あんなに怒られたの初めてだーいっっ! うわーんっ!」


『……』


< 214 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop