秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
『シュン……次の駅よね?』
どれくらい経っただろうか。
いずれにせよ、最初にウィーンを発ってからはだいぶ経っている。
疲れているだろうが、誰一人目を閉じることはなく、残すところ一駅となった。
『マヒロ達の降りた空港の比較的近くだ。探せば誰かいるかもしれない』
荷物を整え始めると、やはり列車内のほとんどの人が降りる素振りを見せていた。
『…あの人達も……誰か巻き込まれたのかしら』
―ビーッ
『降りるぞ』
人の勢いに呑まれそうになりながら、なんとか駅に降りた。
『これからどうすんだよ』
『分からない』
だが安否だけは確かめないと気が済まない。
とりあえず…。
『空港に行ってみよう』
ひょっとしたら無事でいるかもしれない。
淡い期待だとわかっている。
でもそうでも思わなきゃ、不安に押しつぶされそうだ。
方向はよく分からなかったが、人の流れにそってしばらく歩いていると…。
『…あれ…って…』
遠くから、黒煙が上がっているのが見えた。
爆発が起きたのは、ここの時間で半日以上前のはずだ。
まだ…煙が上がっているのか…。