秘密のMelo♪y⑤*NY編*
「……」
やっぱり、足りないの。
一人いないだけで……こんなに喪失感に見舞われるものだろうかと、そう思うほどに心に穴が空いたみたい。
まるでかっくんがこの中において全てだったかのように、あの人がいないと他のみんなもいないように感じた。
かっくんがいて…初めて、あたしは他を受け入れることができた。
それだけの余裕を持つことが出来てた。
今のあたしは……自分さえも、受け止められない。
「おっ? 何やら騒がしいと思えば、全員集合ではないか。いやあっはっは。まおちゃん幸せものだねぇこんなに思ってくれるお友達がいっぱいいて❤」
「来ちゃったわよ。呼ぶまでもなく」
「…そうだねぇ…」
「ん? なにかね?」
「ああ、いえ…。別になんでも」
ぷいっと顔をそらして蓮くんは言った。
父様は、にこやかになんか手に持ってベッドに寄ってくる。
「これね、まおのファンだって子が泣きながら『わ"だじでぐだざい"ぃ"~!』…だってさ。綺麗だねお花」
お花…。
「しかしなんでガーベラかねぇ…。ま、あの様子じゃ花を選ぶ余裕もなかったのかね」
ガーベラ…。
花言葉…希望、か…。
そんなもの…。
「…いらない」
「まあそー言わずに❤飾ってたら綺麗…」
「いらない」
希望なんて、持っていいのか分からない。
期待して裏切られるのも嫌だ。