秘密のMelo♪y⑤*NY編*
結局花梨もその場を動くことなく、なぜだか俺達はみんなまた、病院に留まった。
宝院もまだ帰る目処がつかないというし、俺達だってわざわざ来たのに今さら帰る気はない。
すると必然的にここに集まってしまうのだ。
「ん? まだいたのか」
これもまたお馴染み。
しばらくして病室から出てきた真裕父が、俺達に気付いてそう言った。
「まおは寝たんですか?」
「ああ。…でなきゃ目が離せんよ」
「どういう意味です?」
聞き返した蓮二に向かって、真裕父はさらりと言った。
「うん。楓くんのあとを追いかねないからね」
「は!?」
「あとを…ってまさか!」
「本人も何も考えずにやっているようだった。私と目があった瞬間に意識が引き戻されたような…そんな顔をしていた」
無意識に…ってことかよ。
逆に恐ろしいなおい…。
「まったく…。体は大事にせねばいかんというのに」
ぶつぶつと言う真裕父の言葉も最もだが、気持ちは分からないでもなかった。
もちろん俺には、真裕にとって楓がどれだけ大切な存在で、どれだけ想い合っていたかは到底わからないだろう。
そんな存在を失うことのつらさも…分からない。
だけどそれでも、ずっと二人を見てきたのだから少しは分かるつもりだ。
真裕の今のつらさ……少しは、分かるつもりだ。
なあ、頼む。
戻ってくれよ真裕…。
俺達も、ちゃんといるんだぜ…お前のそばに…。