秘密のMelo♪y⑤*NY編*
―――……
『ハア…つかれた』
その日の夜、ホテルに帰ってベッドに倒れ込んだアッシュ。
まあ…病院を出た後も、他に何か欲しがってたものはないかとあちこち探し回ったメイリー達に散々付き合ったのだから無理もないが。
『第一どんなに探したって…物なんか欲しがるわけないのに…』
『まあそう言ってやるな。気持ちだ気持ち』
元気づける…というのもおかしいかもしれないが、まあ早い話はそういうことだ。
そのためになんとかならないかとみんな思っているのだから、それを言っちゃお終いだ。
『つーか思いつくものが、絵本や喋るぬいぐるみや棒付きあめって…どんだけ子ども扱いだよ!?』
『……』
そりゃまあ…確かに。
結局何も買ってはいないが、仮にも十八の女に…そりゃねェな。
そういう扱いしたくなるのも分かるけれども。
『……なあ…』
『あん?』
『カエデは本当に……もういねぇのかな』
『……』
『だってさ、俺ら見てないんだぞ? そう簡単に…信じられるかよ…』
…そうだ。
誰も見ていない。
なのに“確かだ”って…なんだよそりゃあ。
自分の目で見なきゃ信じられるはずがない。
だけど…十分すぎるほどの情報と状況証拠。
そして少し曖昧ではあるものの、物的証拠も…。
アッシュの言うことも最もであったが、同時に意味のないものでもあった。