秘密のMelo♪y⑤*NY編*
それは僕らだけでなく、ウィーン組もよく知ってることで…。
だから全員が信じたいと思っていた。
二人の愛……というやつを。
「…でもそれも、いつまでも期待してられるものでもない」
「……」
そろそろ限界だと分かっている。
そんなものを信じるにはそろそろ限界だと。
でも。
頭が分かっていても、心がついていかない。
到底無理なんだよ。
第一話に聞いただけのそんな信じられない死など、誰が簡単に信じようものか。
いくら理屈が分かっていても、だからといってそうですかとは言えない。
「どうすることもできないんだよ…今は」
床を睨みながらそう呟いて、組んだ手に少し力を込めた。
「まおちゃんの力にもなってやれないし、彼のことも僕らの中では宙ぶらりんのままだ。受け入れるには……やっぱり時間がかかる」
僕らがちゃんと受け入れてからでないと、彼女の力になることなど到底できない。
今は苦しむべきときなんだろう。
彼女も…僕達も。
苦しんで、向き合って、そして受け入れる。
そうすることしか…恐らくできない。
だが受け入れたところで、なにかが癒えるわけではない。
諦める……と言った方が近いくらいかもしれない。
「今はもがくんだ。もがくしかない。…それからだ、すべては」
楓の代わりは出来ないけれど。
せめてそばにいて…一人にはさせない。
確かに強いが、同時にとても弱い子だ。
絶対に、一人にはさせない。