秘密のMelo♪y⑤*NY編*
そりゃもちろんそうだが、気持ちは分かる。
神にも天にもなんにも縋りたくもなるってものだ。
信じたくないだけであって、信じていないわけじゃない。
受け入れたくないだけで、受け入れてないわけじゃない。
ただの、最後の悪あがきさ…。
そのくらい、したっていいだろうぜ。なあ、楓…。
俺ァよ、真裕に散々お前と似てる似てると言われたが。
似てるどころの騒ぎじゃねェよ。
俺とお前は正反対にすら位置する。
と、いうよりは……俺が、おめェの足元すら見える位置にいねェのさ。
どんなに雰囲気が似ていても。
俺は結局、何一つとしてお前の足元にも及ばねェ。
演奏から始まって…男としても、人間としても。
そりゃ確かに、聞いた話じゃ両想いから付き合うまでに半年かかってるらしいし、婚約しても結婚しても手が出せねェヘタレだが。
だがお前は、本当に男前だ。
内面の男気が容姿に表れてるんじゃねェかってほどにな…。
人間としての潔さも、器のデカさも。
本当に格好よくて、俺ァおめェが好きだったさ。
あれだけ真裕だけを愛することが出来て…同じように真裕も楓を愛した。
まさに理想じゃねェかよ。
なんでおめェ……あいつを置いてったのよ。
いいのかよ、ええ?
おめェが目ー離してっと、真裕は可愛いから他の男にとられちまうぞ。
いくらでも、真裕を狙う男はいる。
…いいのかよ。
クールなように見えて、独占欲の強い男が。
あっさり……手放しちまっていいのかよ…。
『…ン……シュンっ?』
『ん…ああ、なんだ?』
『なんだじゃないわよ。どうしたの?』