秘密のMelo♪y⑤*NY編*
メイリーの不審そうな声にハッと我に返って顔を上げると、二歩ほど手前で四人がこちらを振り返っていた。
『着いたじゃないの』
『ああ…そうだな』
見上げりゃその真ん前には、目指していた建物があるじゃあねェか。
いつの間にこんなところまで…。
『さ♪いっこう~いっこう~!』
妙にテンションを上げて中に入っていくアッシュに、俺達も続いた。
『あ! ヤッホーメイリー!』
『あらカリン!』
『まおなら今日は調子がいいらしいわよ。行って来たら?』
『本当? じゃあ行ってくるわ。後でねカリン』
『ばいばーい』
真裕の病室がある奥の奥のほうのロビーに行くと、花瓶を抱えた花梨に出くわした。
なんだかんだで、花は飾ってあるのか…。
『最近マヒロ、身体の調子がいいみたいよね』
『そうねー。よかったわ本当に…一時はどうなることかと思ったもの』
『俺もうあんとき何回心臓止まりかけたことか…』
『バッカマヒロなんて実際何回も止まってんのよ? そんなもんへの河童だわよ』
『…への河童ってそういう時に使うのか?』
『……知らないわよ』
知らねェなら使うなよ。
相変わらずだなリジュ。
相変わらずなのは俺達自身だが、全く遠慮することなくノックもせずにガラリと病室の扉を開けた。
『ちーっす』