鏡の向こう
感覚的編
「入ってくれ。」
ガラガラ。
……ぇ?
「矢津田拓海です。」
目の前には、私たちの学校と同じ制服を着ている拓海の姿。
あのときと、全くおんなじ、
瞳、
声、
姿。
『拓……海。』
私は小さく呟いていた。
「矢津田の席は高橋の隣だ。」
担任が私を指差して、
それと同時に拓海からの視線。
「はじめまして。」
…はじめまして。か。
やっぱ、覚えてないんだ……。
『はじめまして。』
「本当に?」
『ぇ……?』
どういうこと??