鏡の向こう
「ぁ、いや、
前にも逢ったことある気がしたから。」
『……。』
「気のせいか。」
『気のせいなんかじゃなぃっ!!』
私は涙が出てきていた。
「泣かないでよ、紗香。
………ぇ?」
今、紗香って……。
私、まだ名前言ってないよね??
私よりも、拓海のほうが驚いていた。
『拓、海?』
「ぇ、な、何??」
きっと、これは、
鏡がくれたプレゼントだ。
『ぁ、ごめんなさい。
いきなり泣いちゃって。』
「ぁ、いや。大丈夫。」
『私、高橋紗香。拓海、よろしくね♪』
私は満面の笑みを浮かべて、拓海を見た。