今日からfamily!?


「…海里」


目の前にいる女の子があたしの頭上に向かって訝しげに言った。

あたしが後ろを振り替えると、ちょうど真後ろに海里くんが立っていた。


「入れない」


海里くんはあたしをジロリと見下ろす。

見上げた海里くんはいつもどおり気だるそうで、更には眠たそう。


「どいてって言ってるんだけど」

「あ、あぁ。ごめん」


あたしがスッと端に寄ると海里くんは何事もなかったように女の子たちの間を縫って教室内に入っていった。



「放課後、体育倉庫前に来なさいよ」

「……」


海里くんと若干距離が取れてから女の子が小声であたしに耳打ちした。


……呼び出し。


「来なかったらどうなるか分かってんでしょうね」


そんなお決まりの捨て台詞を吐くと彼女達は散らばっていった。



呼び出しだよ、呼び出し!

恐怖!

早退しちゃおうかな!



< 165 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop