桃染蝶
その微笑に、私は何度
救われただろう。

例え、それが嘘でも。

お兄ちゃん・・・

貴方は、私の恋心を知っても
決してそれを咎めたりはしない

ただ、優しく微笑んでくれる。

見守ってくれる。

クッキーを頬張る貴方に
私は、言う。

「ありがとう」

「何が?」

「ううん、何でもない
 
 ほらっ、お兄ちゃん
 食べて食べて
 
 どう、おいしい?」

「ああ、うまい、絶品」
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