桃染蝶
その夜・・・

階段を、勢いよく駆け上る
私は、すれ違う。

「カヤコ?」

「何でもない・・・」

私が、泣いてることに
貴方は、きっと気づいただろう

バタン・・・

私は、部屋のドアを閉め
鍵を掛けた。

一夜から香る、甘い香り

『違う、男』

嘘だって、私、知ってたよ。

あの、完璧なまでに美しい
一夜の事を、女の人が
放って置く訳が無い。

女性に言い寄られて断る男
なんていない。
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