桃染蝶
「えっ?」

噎せ返る、知らない香りに
落ち着かない私は余計な事
を口にする。

だって、この部屋は幸せで
溢れている。

結婚に、子供に、幸福

未来・・・

『憎らしい

 女・・・』

嫉ましい・・・

「あなたじゃ無理よ
 
 こんなことぐらいで
 何言ってるの
 
 暴力が苦手、嫌い?
 
 笑っちゃう」

彼女の表情が歪む。

でも、私の言葉は止まらない。
 
「あなた、極道の親分の
 女なんでしょう?
 ・・・」
< 118 / 386 >

この作品をシェア

pagetop