桃染蝶
「いっちゃんだなんて
 私のイチヤの事

 馴れ馴れしく
 呼ばないで・・・」

その後、泣いてる彼女を
一人残して、私はその部屋
を飛び出した。

纏わりつく香りに嫌悪感を
抱きながら夜道を公道まで
駆ける。

こんな時に、私

何やってるんだろう?

一夜と正二の身を案じる
どころか、嫉妬に苛まれて
・・・

今更、自己嫌悪に陥っても
全ては遅い。

今の私に、大切な事が
見える訳ないね。

ごめんね、イチヤ・・・

私は、貴方から大切な人を
奪ってしまった。
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