桃染蝶

彷徨う愛

真実の愛を知った時
全ては終わる。

そう、私は
全てを終わらせる。

夜の街に生息して、何年の
月日が流れただろう。

小娘だった私も、今では
ベテランの息。

若い子達の世話はもちろん
ママにお店の切り盛りまで
任される始末。

「カヤちゃん、君はまだまだ
 若いのに、もう、ママに
 打って変わってるのかい?」

カウンターでお酒を作る私に
常連のお客様は言う。

「はい
 最近のママは仕事よりも
 恋に夢中なんですよ」

「いいじゃないの、今まで
 恋もせずに、この店と
 シホちゃんの為に
 がむしゃらにがんばって
 生きてきたんだもんな」

「はい、シホさんが結婚した今
 ママも自由に自分の人生を
 謳歌してますよ

 あっ
 噂をすれば、ママだわ」
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