桃染蝶
「わからないんです
 
 わからないの・・・」

一夜を好きな気持ちは今も
この胸の、ずっと奥にある。

でも、お兄ちゃんに逢いたい
私もいるの。

混乱してる、私の心・・・

私の魂は誰を求めてるの?

そんな私の肩を強く抱く、ママ

「うんうん
 カヤちゃん、落ち着いて
 
 ごめんなさい
 混乱させるような事を
 言ってしまったわね・・・

 カヤちゃんは、私のもう一人
 の娘のような気がして
 どうしても放っておけなくて
 ついお節介が過ぎたわね
 
 さあ、この話もお終い
 飲みましょう」

お酒を飲み終えて、店を出る
私に、ママは言う。

「カヤちゃん
 好きな人は、絶対に離しては
 駄目、諦めちゃ終わりよ
 ・・・」
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