桃染蝶
舎弟のその肩に、入江は手を
置いた。

「邪魔だ、どいてろ

 高月組の親分さんが
 こんなところまで何用だ?」

「アンタに聞きたい事がある」

「タカツキ、テメー
 
 誰に舐めた口聞いてんだ
 
 はあ」

「やめろ、リョウ

 誰か、この気性の荒い
 男を連れていけ
 
 落ち着いて話もできん

 でっ、何を聞きたい?」

一夜は、入江から視線を逸らす
ことなく問いかける。

「会澤組は知ってるか?」

「ああ、聞いた事はある
 確か、間宮をおとしいれて
 豚箱にぶち込み、組を
 分捕った、ずる賢い男
 だったかな?」

「マミヤのアニキの事
 知ってるんですか?」
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