桃染蝶
「まさか、桑嶋の奴が
 まだ何か言うとるんですか?
 
 それやったら、わしが・・」

男は一人意気巻いて片膝をつく

「いや、クワジマはもう
 きれいさっぱり極道社会から
 足を洗った、今は堅気だ

 ただ、俺は桑嶋組の者達を
 引き受けたまで・・・」

「そうですか
 一件落着してるんですな

 ほんなら遊んで・・・」

「すみません

 親分の帰りを組員達が首を
 長くして待ってるんです」

初馬の言葉に続く、一夜。

「すまない」 

「それはそれは、急いで
 帰ったらなあきまへんな

 ほな
 今日は、思い存分
 盛り上がりましょう」
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