桃染蝶
私は鞄だけを持ち、会澤と
暮らした部屋を飛び出した。

蝶々・・・

あなたが、導いてくれる
愛する人の元へと私は急ぐ。

ヒラヒラ、ユラユラ

この夜に、私は舞う・・・

今、この私の瞳に映る人は
私が愛する人・・・

あんなに、幼い頃から
恋焦がれた一夜ではなく

ある日を境に私の兄になった
男の子。

『一夜は、彼の事が好き

 私は、彼の事

 好きになれない

 一夜・・・

 あなた以外の人

 わたし、嫌い』

そんな私は、今では
お兄ちゃんが好き。
< 224 / 386 >

この作品をシェア

pagetop