桃染蝶
「カヤコ・・・」

「私と過ごす時間は全て
 私だけを見つめてくれれば
 それだけでいい

 それだけで・・・」

私を強く抱きしめる貴方。

「俺と、サオリの結婚は
 本当は、この先
 どうなるかわからない」

「わからないって?」

「俺がヤクザをやめない限り
 彼女の親は、この結婚を
 認めてはくれない」

「お腹に
 赤ちゃんがいるのに・・・」

「ああ・・・
 
 俺はその条件をどうしても
 飲む事ができない

 たかが、ヤクザ家業だと
 彼女の親父さんは俺の事
 をバカにするが、俺にも
 俺の信念がある

 俺は、アニキが、高月組が
 やっとこれからこの世界で
 渡り歩けるって時に、組を
 離れるわけにはいかねえ」
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