桃染蝶
「・・・
 俺は、まだ何者にも
 なっちゃいねえ

 アニキが歩む道その後を
 ただ、虫ケラのように
 這ってるだけの半端者
  
 誇れるものもなく
 この手には何もない」

「ショウ?」

私を強く抱き寄せ、甘え
ながら貴方は言うの。

「俺は

 アニキになりたい
 
 いやっ、アニキ以上の
 男になりたい
 
 いつか
 
 アニキを超えたい」

正二・・・

貴方は、きっと
ヤクザをやめられない。

『薄情な男と・・・
 一緒にいたいだなんて
 想わない』

「カヤコ、どうすればいい?

 おまえは、こんなにも
 薄情な俺を嫌う?」
< 240 / 386 >

この作品をシェア

pagetop