桃染蝶
ショウは、ケースの中にある
ペアリングを指差した。

「気に入らないか?」

「ううん

 ショウがいいなら
 それがいい」

この指に嵌めることを
赦されるなら

「それが、欲しい」

私の頬に触れる、貴方の
左手、中指には指輪が光る。

貴方は私の左手、薬指に
ゆっくり指輪を嵌めてくれる。

きらり、輝く指輪・・・

貴方は、その指輪に口づけて
言うの。

「カヤコ
 おまえに永遠の愛を誓う」

貴方の唇が、触れる・・・

眠る貴方の左手を取り、指輪
を見つめ、私の頬にそっと
あてる。

「ショウ

 わたし
 
 止められなくなりそう・・」
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