桃染蝶
「あなたを

 誰にも渡したくないよ」

渡したくない・・・

だけど、こんな関係をそう長く
続ける訳にはいかない。

やめられなくなる前に、貴方の
元を去る事を私は決心した。

眠る貴方に、私は言うの。

「あなたを愛してる・・・」

閉まるドアの前

私は、お腹にそっと手をあてた

「さあ、行こう?」

私は、振り返らずに歩む。

貴方の愛は、私の中にある。

私は、寂しくなんてないよ。

貴方が、恋人と別れた事実を
私は後に、ある人から聞いて
知るのだった。
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