桃染蝶
倉庫、正面口に向けて銃を
ぶちかますは、一夜。

その銃声に、裏口から
慌てて出てくる一般人に向け
初馬は言う。

「ほらほらっ、急げよ
 早く逃げなきゃ危ないぞ
 撃っちゃうよ」

正二と数人の男達を従えて
正面口から中へ入る一夜。

扉付近に立ちはだかる
一夜の前には、雑魚共の姿。

「これはこれは、高月組の
 親分さん、それに幹部の面々
 まで、よう、こないなところ
 までいらしてくれましたな

 再三の忠告、無礼とは
 思とりましたが、直に自分の
 シマに帰る身、もう少し
 目瞑ってくれはったら
 宜しかったのに

 ワシ等は、高月組さんに
 逆らおうなんてこれっぽちも
 思とりません」

「思ってないだと

 いったい
 どの口が言える?」

正二の問う声。
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