桃染蝶
花夜子がいなくなったこの部屋
で俺は、愛の無い女を抱く事
だってできる。


消えた、花夜子

去った、一夜


ぽっかりと開いた穴を埋める
ように、俺は目の前の女の体
を貪り食らう。

女の喘ぐ声に溺れながら

俺は、自分を壊す。

もっと、もっと・・・

「正気じゃ
 
 遣ってらんねぇ」


自分を縛る想い・・・

それは、ひとつ


憧れ続けた、兄貴

一夜・・・

俺は、アンタに成る。
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