桃染蝶
「・・・・・・」

電話越しの貴方は、きっと
薄気味悪がってるね。

こんな真夜中に鼻をすする音
だけを聞かされるんだもの。

それなのに、貴方は一向に
何も告げず電話を切ろうとは
しない。

「イチヤ、誰から?」

後ろから聞こてくる女性の声
にハッと我にかえった私。

何してるんだろう、私?

また、一夜の邪魔する気。

『いっちゃん』

芽衣子さんの声が聞こえる。

私が奪った命・・・

一夜の邪魔しちゃいけない。

それだけは、絶対にダメ。

私は、声色を変えて言うの。

「間違えました
 
 ご、めん」
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