桃染蝶
慌てて、電話を切ろうとした
私に聞こえる声。

「カヤ
 
 切るな
 
 何があった?」

カヤ・・・

貴方はまた、以前のように
私の名を呼んでくれる。

「カヤ?」

貴方に、そう名を呼ばれると
私の胸は今もこんなに苦しい。

そして、こんなにも嬉しい。

「イ、チヤ

 助けて
 
 私を、ううん
 
 この子を救って・・・」

貴方は、速やかに答えを
聞かせてくれた。

「ああ、救ってやる」
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