桃染蝶
一枚の写真、その中で
ショウの隣で微笑む、この女性
は、ショウの子供を身篭り

ショウに、一生、愛される人。

知りたくも無い、その存在を
私は知る必要があった。

ショウが自分のものにならない
事を私は自分自身に知らしめた

「カヤコ?」

私は、写真をテーブルに
伏せて置き、ショウに甘えた。

「ショウ
 
 もう一度、抱いて」

「ああ

 おまえだけを愛してる」

あの時と同じだ。

涙が、こぼれ落ち
体の振るえが止まらない。

彼女の存在に・・・

「どうして・・・?」

一夜の左手、薬指には
指輪が光る。
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