桃染蝶
コンビニのドアが開き、閉まり
開き、閉まる。

「お客様、失礼とは思いますが
 ドアの前で新聞を読まれます
 と、大変危険です・・・」

「ああ、すまない

 なあ、おまえ
 この映画、観た事あるか?」

新聞に載せられた映画の広告

「いえっ」

「じゃあ、仕事が終わったら
 ここに電話して迎えに来て
 やる、一緒に観よう」

男は、年端もいかない少女
の手に名刺を渡した。

「えっ?お客様・・・」

名刺を見つめる少女。

「タカツキショウジ?」

「チナツちゃん、レジお願い」

コンビニに立ち寄るお客が
開いたドア。

その先に見える背中。
< 381 / 386 >

この作品をシェア

pagetop