桃染蝶
ここは、現在の庵の家

寝室のドアの前。

「親父?」

「カイリ」

首を振る、董。
 
室内、庵の手には奇跡的に
みつかった母、花夜子の
一夜に宛てた最後の手紙。

『庵へ・・・・
 
 愛する人からの最高の贈り物
 はイオリ、あなたです

 ママはあなたを愛しています
 永久に』

病院で入院中の正二はある願い
を見舞いに来ていた庵にした。

「イオリ、一度だけおまえを
 抱きしめていいか?」

「はい」

年老いた親の腕に抱かれる、庵

「おまえの親父は
 イチヤのアニキ
 ただ、一人
 
 だから、俺の死を
 悲しまなくていい」
< 383 / 386 >

この作品をシェア

pagetop