桃染蝶
「できない・・・
 
 あそこに居ると私
 息が詰まるの
 
 ずっと、苦しい・・・」


鏡に映る、わたしの瞳は

一夜の瞳・・・


こんな風に貴方が、私だけを
見つめてくれれば


こんな風に貴方が・・・


花夜子は、冷たい鏡に唇を
そっと合わせる。


私だけに口づけてくれたら

もう、死んだっていい。


貴方が、兄でなければ

どんなに・・・
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