桃染蝶
「ああ、カヤが一番 
 かわいい」

「イチヤ

 ねえ、カヤコのこと
 ・・・・・・?」

おまえが俺に問いかけたかった
本当の言葉を俺は知っている。

知っていて知らないふりを
続けた。

「イチヤ

 ねえ、カヤコの事

 好きですか?」

眠る俺に問いかける花夜子の声

小さな、小さな

頼りない声。

俺は、その声に気づかないふり
をして寝返りをうってみせた。

いつものように・・・

「イチヤ
 聞こえてるでしょう?」
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