桃染蝶
私は、狂おしいまでに
貴方を愛してる。


部屋の窓から、正二は見つめる

停車した一台の車に飛び乗る
花夜子の姿。

走り出す車を追いかける裸足の
兄貴を蹴散らして、車は夜の町
に消えて行く。

兄貴だけが頭を抱え

その場に立ち尽くす・・・


イチヤ・・・

あれから、何年の月日が過ぎた
ことだろう?

私は、この体から狂おしいまで
に溢れ出る貴方への想いを胸の
奥深くに閉じ込めて、いろんな
男に抱かれ生き続ける。
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