桃染蝶
「いっちゃん
 
 びっくりしたぁ」

「何、チンタラ歩いてんの?
 だらけてんなよ」

「誰も 
 だらけてなんかないよぉ
 
 これでも、真面目に
 歩いてます」

「ふーん、そう」

貴方は、彼女の肩を抱き寄せ
彼女を見つめ、彼女に微笑み
かけるの。

彼女だけに・・・

それが、堪らなく嫌なの。

どうしたって、嫌。

昔から、感情を表に出さない
一夜。

そんな一夜が笑うのは
私にだけ・・・
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